プロジェクトProjects

 

デサントアパレル株式会社 水沢工場

2025
岩手県奥州市

構  造:鉄骨造
階  数:地上1階
延床面積:5,099㎡

アラップ( PM )
山脇克彦建築構造設計( 構造設計 )
総合設備計画( 設備設計 )
キタバ・ランドスケープ( 外構設計 )

岩手県奥州市に建つ、ダウンウェアを生産する縫製工場の建替計画である。
敷地は焼石連峰からの豊かな水によって形成された胆沢扇状地に位置し、周辺には水田、堰、桜並木、そして屋敷林「居久根」が点在する。夏は暑く、冬は厳しい寒さとなる東北内陸部の気候のなかで、高品質な製品を安定してつくり続けるための生産環境と、従業員が長い時間を過ごす作業環境の両立を目指した。
既存工場は複数棟に分かれており、生産動線や温熱環境に課題があった。新工場では、裁断、縫製、検品、出荷に至る各工程を矩形平面の中に整理し、工程間の距離を短縮しながら、従業員同士のコミュニケーションが取りやすい一体的な生産空間をつくっている。
平面計画は、生産エリアを中央に置き、その外周に必要諸室を配置する入れ子状の構成とした。長時間使用される生産エリアが外気に直接接する面を少なくすることで、温熱環境の安定を図っている。断面においても、室内と屋根の間に空気層を設け、屋根面からの熱変化を和らげる構成とした。
生産エリアでは、軽いダウンを扱うため、気流を発生させにくい輻射冷暖房を採用している。屋根の連続する家形断面、トップライト、ハイサイドライトによって、均質な明るさを確保しながら、時間や季節の変化を感じられる光環境をつくった。
また、生産機器の組み替えに対応するため、電力とエアを供給する木製のファクトラインを縦横に設けている。奥州市周辺の杉を用いたこのラインは、設備インフラであると同時に、広い生産空間に人のスケールを与える建築的な要素にもなっている。
1970年にこの地に開設された工場が目指した「理想工場」の精神を受け継ぎながら、卓越した技術をもつ従業員のための、機能的で快適なものづくりの場をつくることを目指した。