プロジェクトProjects
















今金町立今金中学校
2023
北海道瀬棚郡今金町
構 造:鉄筋コンクリート造+鉄骨造
階 数:地上2階
延床面積:5,324㎡
山脇克彦建築構造設計( 構造設計 )
総合設備計画( 設備設計 )
北海道今金町における中学校の建て替え計画である。1学年2クラスの小規模編成、学習環境の多様化、そして積雪寒冷地における維持管理の省力化や省エネルギー化といった、北国の地方都市が抱える現代的な課題に応答し、この地域に生きる子どもたちの原風景となる新しい学び舎の姿を模索した。
冬期の厳しい吹雪や吹き溜まりに配慮し、外観は南北に長い門型のシンプルな矩形ボリュームとして、前面道路に近接して配置した。平面計画では、かつて手掛けた今金小学校の知見を進化させ、体育館と武道場を建物の中心に据えて学習・管理諸室が周囲を取り囲む「完全内包型平面」を採用した。南面に普通教室とワークスペースのユニットを、東西面に特別教室や管理諸室を配し、それらを結ぶロの字型の回遊動線を巡らせている。行き止まりのない二方向避難という高い安全性を担保しつつ、廊下や階段に設けたベンチや小さな居場所が、共用部全体へと多様な学びの風景を広げていく。
内包型プランの課題である夏季の通風と中心部の暗がりに対しては、断面構成によって解決を図った。体育館や武道場上部の屋根を折り上げて設けたハイサイドライト(高窓)から、潤沢な光と風を導入。随所に設けた通風窓や共用部を介して建物全体へと導くことで、時間や季節によって移ろう自然の気配を室内に伝え、環境負荷の低減をも高い次元で両立させた。
また、「農業のまち」今金が大切にしてきた食育の伝統を受け継ぎ、南側中央には全校生徒が一同に介する2層吹き抜けの開放的なランチルームを配置した。隣接する武道場は、間口を全面開放することでランチルームと一体的な大空間となり、地域住民を招いたイベントなどにも弾力的に対応する。
中規模公共建築における木材利用の試みとして、約24mの大スパンとなる体育館の屋根架構には、台形状の鉄骨梁と未処理の集成材によるハイブリッドトラスを採用した。確かな構造性能を満たしながら、木のもつ温かみを空間に表現している。周辺の雄大な農地や山並みを借景として内部に取り込み、地域の自然環境と日々の活気ある営みを結び直す、この土地ならではの学びの場がここに実現した。