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進行中プロジェクト Ongoing Project

 


定山渓学園

2025
北海道札幌市南区

構  造:鉄筋コンクリート造+木造
階  数:地上1階
延床面積:4,612㎡

金箱構造設計事務所( 構造設計 )

札幌市定山渓地区に1校ずつあった小学校と中学校を統合した義務教育学校である。1学年10名未満の小規模校という特徴から、日常的な異学年交流を促す親密な学習環境のほか、地域材を使用した木造校舎とすることが求められた。
敷地は南北を山と川に挟まれた谷地で、近隣には南西側に集合住宅や住宅が並び、北側に山がそびえる。既存体育館北側に矩形の校舎を配置して前庭を設け、平屋とすることで山への眺望を近隣に還元した。
平面は、前庭と連続する西側に普通教室を、東側には音楽室や理科室等の特別教室をまとめた。普通教室は低学年を南面教室、高学年を北面教室とし、間に図書室・多目的室を配置した。長手方向は建具で教室を開放できるつくりとし、南北方向に児童生徒の活動が展開することを意図した。
ワークスペースにはハイサイドライトを設け、南北の普通教室、中央の教室に二面採光を確保した。校舎東側廊下にも相似形断面のハイサイドライトを設け、廊下幅や機能に応じた仕上で変化をつけ、学校全体が自然光に満たされる計画とした。
構造はI形RC自立壁と木架構からなる混構造とし、長手方向に耐力壁を設けず、南北方向の開放性を確保した。また将来の改修・転用を見据えてI形RC自立壁を教室2スパン毎に配置し、柔軟性を持たせた。木造部分は札幌市産、道内産唐松集成材を使い分け最大限現しとしている。教室小梁の強度等級を上げて材積を絞ることでコスト削減を図りつつ、105mm幅で統一した小梁が連なる軽快な木架構を実現した。

 

 

 


デサント水沢工場

2025
岩手県奥州市

構  造:鉄骨造
階  数:地上1階
延床面積:5,099㎡

アラップ東京事務所( PM )
山脇克彦建築構造設計( 構造設計 )
総合設備計画(設備設計)
キタバ・ランドスケープ( 外構設計 )

1970年に東北に開設された縫製工場の建替プロジェクトである。建設地である岩手県奥州市は内陸部に位置し、夏暑く、冬は最低気温が−10℃にも達することもある。既存工場は分棟形式の工場で外壁面積が床面積に比べ多く、熱損失が大きいものであったが、今回計画では、分かれていた各工程や必要諸室を整形な矩形平面にまとめ、外壁率を低減した上で、生産エリアを中央に、必要に応じて使用する諸室を外周部に配置し、従業員が長い時間過ごすエリアの温熱環境を効率よく良好にする「入れ子」形式としている。従業員の快適性向上、デリケートな素材への影響を最小限にするため、冷暖房設備は気流の発生がない輻射パネルを採用している。断面は家形が連続した形状で気積を抑えつつ高低差のある天井面にすることで、室内で発生する熱の溜まりをつくり、活動域の快適さをもたらす。ハイサイドライトから自然光を取り入れるとともに、南面にはこの地域独特の景観「散居」を形成する防風林を望む大きな開口を設け、1日の変化、季節の移ろいを感じることができるものとしている。断面形状がもたらす切妻が連続する外観は周辺に点在する伝統的な木造の蔵の深い庇と調和する。55年前に東北の地に「理想工場」を作ろうとした開設者の意思を新しい工場にも引き継ぎ、卓越した技術力をもち、高品質な製品を生み出す従業員により良い環境を提供する。

 

 

 


岩内中央学園

2026
北海道岩内郡岩内町

構  造:鉄筋コンクリート造+鉄骨鉄筋コンクリート造+鉄骨造
階  数:地上3階
延床面積:14,135㎡

金箱構造設計事務所( 構造設計 )
総合設備計画(設備設計)
プラッツ+GTアドヴァンス( 外構設計 )

北海道積丹半島西側に位置する岩内町において、岩内岳と日本海を遠望するまちの中央にある旧小学校を活用し、町内小中4校を集約した義務教育学校を整備する計画である。
既存建物は躯体状況を踏まえ、欠損部補修、地震力以外を現行法に適合させる補強、床壁を増減する改修を施した。また寄り添うように既存建物面積1/2以下の分離増築を行うことで、一体的な教育環境を構築した。併せて湿式外断熱工法により塩害に対する既存躯体の長寿命化と省エネ性能の向上を図った。
既存建物と増築建物の中央には既存の床を撤去し連続させた吹抜空間を設けた。自然採光と自然通風を導き、上下動線や横動線の中心となる建物の骨格を形成する。一方、既存躯体を拡張したグリッド空間に3段階の教育課程に合わせたゾーニングを行った。大きな什器による3種類の異なる教室周辺環境を作り、9年間通う学校生活に変化をつけた。
八幡通側につながる広場を中心に、機能的で異なる形の5つの棟が囲う構成とした。夫々の棟が周辺建物や既存建物と形態的な関連性を持ちながら群を形成し、コンテクストと接続することを試みた。

 

 

 


砂川学園

2026
北海道砂川市

構  造:鉄筋コンクリート造+鉄骨造
階  数:地上3階
延床面積:15,801㎡

山脇克彦建築構造設計( 構造設計 )
総合設備計画(設備設計)

石狩川流域の平坦部に位置する砂川市は、人口減少に伴う学校規模の適正化を図るため、市内小学校5校、中学校2校を統合し、新たに義務教育学校を整備することを決めた。
7校が統合されることにより、市内各地から計750名(24学級)を超える児童生徒が一堂に会し、9年間を共に過ごすことになる。物理的な巨大さ・均質さを引き受けつつも、子どもたちにとって自由で活き活きとした居場所をつくりたいと考えた。
配置は、幹線に面した北側部分に、校舎、スクールバスのロータリー、駐車場、サービスヤードを機能的に集約した。敷地を二分した南側一帯を「みんなの庭」として地域に開き、低層住宅地の景観に公園のような活きた空地を生み出した。
平面は、4-3-2制の各ステージに応じた教育環境を整えるべく、ステージ構成をそのままフロア構成に対応させた。体格差や学習内容の変化に応じて、各部寸法や家具、色彩などステージ毎の設えを明快に分け、子どもたちが成長を実感できる空間とした。
各階では、学年単位となる3つの教室と、トイレ・手洗いや教師コーナー等からなる24m×20mのユニットを連結させ、共用廊下と直に接続する平面形式を採用した。各ユニットには従来の廊下を拡張したオープンスペースから発展し、多様な学習活動への対応に留まらず、80人前後の集団が長期にわたり共存できる居場所を点在させた。