江差中学校
Esashi Junior High School

2015
北海道檜山郡江差町

構  造:鉄筋コンクリート造+鉄骨造
階  数:地上2階
延床面積:4,997㎡

金箱構造設計( 構造設計 )
アトリエブンク+環境設備計画( 設備設計 )

道南の江差町に建つ中学校の建替え計画である。江差町はかつての商港都市としての繁栄を今に伝える多くの歴史的・文化的資産が残されており、「歴史を生かすまちづくり」でも知られている。アトリエブンクは1980年代から江差町の公共建築設計に携わってきており、その時代時代の建築技術を用いながら、江差の地域性を表現する建築を模索し続けている。江差中学校の設計では「屋根」のあり方に着目しながら、この場にふさわしい建築を考えた。
地域性を表現する「屋根」
計画地は丘の中腹に位置し、冬は「束風」と呼ばれる北西からの卓越風が吹付ける気候条件にある。高台に建つ新たな地域のシンボルとなりながら、風をうまく受け流すことのできる屋根形態のスタディを重ねた。平面的には体育館の3方を2階建ての校舎がコの字に取り囲み、体育館が束風のバッファーとなる構成である。一体構成とすることで、短冊形の校舎棟や体育館特有のボリュームといった既視感のある風景を避け、スケール感の大きな新しい建築の姿を現したいと考えた。幾重にも重なった屋根は、軒天井をコンクリート打ち放しとし、江差のまちなみに馴染みながらも、力強いたたたずまいを表現できたと考えている。
環境装置としての「屋根」
体育館と校舎との間にはリニアな2層吹抜け空間を設け、見通しの良い学校の中心軸とした。屋根の重なりを生かしながら、この吹抜け空間や体育館上部にハイサイドライトを設け、自然採光と自然通風のルートを確保した。また、南面の屋根庇は、夏の日射を制御する役割を果たしている。
屋外空間とつながる「屋根」
近年新築される学校建築では、避難施設としての役割も重要視される。グラウンド側に設けた奥行き約4.5mの深い屋根庇は、日常的には昇降口のポーチとして生徒を迎え入れながら、緊急時にはグラウンドと連携した半屋外空間として機能する。